誰も見ないで
第14章 文化祭
そして次の日
いつも通り学校に来ていた女の子を見てほっとした
のも束の間で
「渡辺君、ちょっといいかな」
と呼び出されてしまった
な、なんか
したっけ
普段ほとんど話すこともない俺達が珍しく会話してるからか、周りも少し興味深そうに見ている
そんな視線を身体中に感じつつ
「うん……」
俺は席を立った
どこか人気のないところに行って凄まじい罵詈雑言を浴びせられたらどうしよう
なんて、その子にも酷いことを考えながら相手の行動を見ていると
どこにも移動しないまま
教室のど真ん中で
「私、渡辺君のことが好きです!! 付き合って下さい!!!」
と半ば叫びながら伝えられた
「!?!?」
ざわ、と揺れる教室内
「ただミーハーなだけで好きとか思ってるのかなってずっとそう思ってたんだけど、昨日のことでやっぱり違うって確信したの。私渡辺君が好き」
まっすぐな瞳でそう伝えられ、教室の興味は次の俺の言葉へと移る
ぅ、あぁ……
えっと
「ご、めんなさい……?」
みんなの前であんまりばっさりと切り捨てるのも憚られて、出た言葉はこんな情けない感じ