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誰も見ないで

第14章 文化祭


「そっか。確かに黒髪清楚な女の子って可愛いもんね」


そう言ってにこ、と笑った顔はさっきまで唸っていたとは思えないほど明るい


木下さんとは違うタイプのことを言ったけど、大して気にしてないってことなのかな


「あ、ここだよね? 本屋さん」
「うん」


結局木下さんの考えは俺にはわからないまま、本屋に着いてしまった



「た、ただいま……」
「おかえりなさい」


漸く家に帰り着いた時はもう日が落ちる時間だった

玄関で大きく疲労のため息を零した俺のところへ瑞稀君が声を掛けてくれる


「すごく疲れてるみたい、だね」
「うん……」


見てわかるよね
そうだよね


家に入って倒れこむように横になると、俺の横にちょこん、と座った瑞稀君がなんだかそわそわしてる


「?」


不思議に思って寝転がりながら見上げると、瑞稀君は俺がどうして見てるのかわかったらしく


「あの……」


おずおずと口を開いた


「どこ、行ってたの……?」
「本屋に寄るから一緒に帰れないって断ろうとしたら、私もって言われちゃって逃げられなくて、本屋に行ってきた」
「……そっか」


なんだか釈然してなさそうな雰囲気

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