誰も見ないで
第14章 文化祭
今度はまた俺からちゅ、と返して
離れる時にちょびっとだけ瑞稀君の唇を舐める
するとそれも同じように返された
気持ちいいキスを繰り返して、甘い痺れで思考力を失っていく
このまま2人だけの世界でずっといられたらいいのに
でも、そんなわけにはいかない
だから
「……瑞稀君」
「ん?」
俺が名前を呼ぶと、大きな目が俺を捉える
「話さなきゃいけないこと、あるんだ」
「…………うん」
瑞稀君は何かをわかってたみたいに頷いた
もしかしたら本当にわかってたのかも
「この前ね……ーーーーー」
俺は、小川さんが瑞稀君のことを教えて欲しいって言ってたこと
そうやって2人で話してるところを木下さんに見られてしまったこと
それからイジメが始まったんじゃないかってこと
それと
俺が小川さんに嫉妬して、ちゃんとイジメを防げなかったこと
小川さんから聞いた瑞稀君への気持ち以外の全てをゆっくり話した
瑞稀君は静かに相槌だけ打って聞いてくれた
全部話し終わるとまた頭を撫でてくれて
「……ごめん。瑞稀君の友達、守れなくて……」
自然と口から謝罪の言葉が出た