誰も見ないで
第14章 文化祭
瑞稀君にどんな反応をされるのかわからなくて
不安で
大人しく頭を撫でられながら瑞稀君の反応を待つ
すると、瑞稀君は静かに俺にたずねた
「湊斗君は、僕と仲良くなった小川さんだから、守れなくて悲しいの?」
「?」
質問の意図がわからず
「うん」
とりあえず頷く
それはそうだよ
瑞稀君と仲良くなかったら、すごく失礼だけど名前も意識しなかった
もちろんクラスの中でイジメがあるのは嫌だけど
他の子がイジメにあっていたって、嫌な気持ちにはなるけど悲しくはならない
と思う
俺の答えを聞いて、瑞稀君は嬉しそうに微笑んだ
「嬉しい」
「……どうして?」
俺の顔が瑞稀君の眼に映る
なんて情けない顔をしてるんだろう
「だってそれは、湊斗君が僕のことをすごく好きで、僕のことをまるごと全部大切に思ってくれてるってことでしょう?」
当然のことを確認された気持ちの俺は
「もちろん。俺は木下さんに告白された時も、小川さんが辛い目に合っている時も、1番に考えたのは瑞稀君のことだよ」
目の前の瑞稀君の目がまた一段と細くなって
「嬉しい」
とまたさっきと同じことを口にした