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誰も見ないで

第14章 文化祭


「なんで……ここに……」


さっきまで木下さんを怒ってた声色を普段の教室で見るような声色に変えて小川さんが俺を見る


「2人が歩いて行くのが偶然見えたから、気になって追いかけたんだ」


でも、俺が言いたいのはそんなことじゃない

聞きたいことがたくさんある


「……どこからどこまでが嘘なの?」


俺の質問に、木下さんの肩が揺れた


「……」


小川さんは何かを考えるように黙っている


説明しないつもり?
でもそんなことで逃したりしない


今日までの色んな想いを振り返ると、俺の中にも怒りが湧き出てくる

沈黙を破ったのは木下さんだった


「ぜ、全部……!!! 全部嘘だったんです!!!」


木下さんがそう言った瞬間、小川さんがじろりと睨む

それに一瞬怯えたような顔をした小川さんだけど、それを振り切るように大きな声で続ける


「私が渡辺君のこと好きって言ったのも、小川さんが、こ、紺野君のこと好きって言ったのも……イジメも!!! 全部嘘だったの!!!!」
「……っ木下!!!!」


小川さんが全て言い切った木下さんを怒鳴るように名前を呼んだ


全部、嘘


でも俺はそんなヒートアップする2人を見ながらどんどん頭が冷え切っていくのを感じた

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