
誰も見ないで
第2章 嫉妬
何かすごい理由があったりするんじゃないのかな
それなら、無理に一緒に帰らなくても
と思ってそう言うと
紺野君の顔がちょっとだけ曇る
「そう、ですね」
やっぱり
俺もちょっと落胆して、じゃあやめようかって言おうとしたら、俺が何か言う前に
「渡辺君のことを好きな他の人に、嫉妬されてしまうかもしれませんからね」
と言われる
俺のことを好きな
他の人?
「何言ってるの。そんな人いるわけないでしょう?」
好きな人には話したいと思うのが普通だよ
正樹とか、紺野君とか、親だってそうだよ
話したい、構って欲しいって思うから話しかけるんでしょ?
話しかけないってことは俺に興味がないってこと
愛の反対は無関心だよ紺野君
心の中のそれもそれとなく紺野君に伝えると、紺野君は驚いたような顔をした
「そ、そんな風に思っていたんですか……」
「?」
そんな驚いた顔されても
「……けど、それでいいのかもしれません……」
紺野君が何か小さい声で言ってるけど、俺にはよく聞こえない
そして顔を上げた紺野君は
「僕は構いませんので、一緒に帰りましょう」
と言った
