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誰も見ないで

第2章 嫉妬


あーほんと、慣れないな
紺野君の笑顔かわいすぎるんだもん


「渡辺君?」


俺の顔を覗き込むみたいにしてくる紺野君に、顔の下半分を手で隠しながら


「ん……なに……?」


と返事をした

すると


「今日から、一緒に帰りませんか?」


目の前の小人からはそんな言葉が発せられる


一緒に?
帰る……


心の中で反芻して理解の遅れた言葉をどうにか理解しようと試みる


「帰りに、どこか寄ったりとか……したいな、って……」


もじもじ手を弄りながらそんな風に言う紺野君のあざとさはテレビで見るアイドルなんかとは比べ物にならない

それに、どこか寄ったりってところで想像したのがあんまりにも楽しそうで


「か、帰る……! 一緒に、帰る」


俺はすぐさま賛成の意を示した


「良かった。それじゃあ、渡辺君も約束があるでしょうし明日からにしましょう」


明日から
そうだよね

今日はまだ正樹と約束があるし


あれ
けど


「いいの?」
「はい? 何がですか?」


だって


「俺と一緒にいるのを誰かに見られたくないんじゃないの?」


教室では話しかけて欲しくないみたいだったから

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