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誰も見ないで

第15章 そんな時期

紺野瑞稀目線


波乱の文化祭が終わり
世間はすっかり冬になった


「うわぁ、今日寒いね」


朝横を歩く湊斗君はモコモコしたコートに首を埋めながら歩いている


「湊斗マフラーは?」
「んー……出さなきゃなぁ、とは思ってるんだけど」
「めんどくさがってると風邪ひいてあっという間に瑞稀君にもうつすぞ」
「それは困る!」
「だろ? ならもっと気をつけて生活しなよ」


正樹君が湊斗君に優しく注意しているのを横で聞きながら笑ってしまう

ちょっと羨ましい感じもするけど、仲の良い2人の会話は聞いてて漫才みたいで面白い


それに、嫉妬ってほどまでならないのは、大和君から正樹君とのノロケ話を聞いてるからっていうのもある

正樹君が知ったら恥ずかしがるだろうから、言わないけど


でも最近は


「正樹、あそこ」
「あ……ごめん、じゃあ先に」


大和君が途中まで正樹君を迎えに来るようになったから、恥ずかしさは薄くなったかな?


「ふふ……っ」
「? 瑞稀君?」
「突然笑い出してごめんね。なんだか大和君が迎えに来て正樹君と一緒に登校なんて、信じられなくて」
「あー確かにね。この前先生たちが最近まじめに出席してるって喜んでたよ」

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