誰も見ないで
第2章 嫉妬
「やっぱり、こういうのは、他の人にはあんまりして欲しくない……です……」
そう言われて、俺も紺野君があの先輩に同じことされたらって想像する
それはやっぱり、嫌、かな
そっか
紺野君も同じように思ってるんだ
「わかった。じゃあ、気をつける」
素直に頷くと、紺野君はほっとした様子で
「ありがとうございます」
と言った
でも
でもさ
「でも、紺野君にならしてもいいんだよね」
気づけば俺の口からはこんな言葉が出ていた
さっきあんなにドキドキしたのに
また触れたい、なんて
おかしいのかな
でもほら
慣れるって意味も込めて
ね
すると、驚いたような顔をしていた紺野君がまた俯いて
「……はい」
と小さな声で言った
から、俺はまたその真っ黒でツヤツヤした髪に手を伸ばす
指先が触れるとぴく、と反応する紺野君がかわいくて
けどやっぱり俺の心臓は苦しいぐらい早くて
どうしたらいいのかわかんなくなる
ゆっくり撫でていると、紺野君の耳が赤いのに気がついた
それを見て俺は
あぁやっぱり
他の人にはこんな紺野君の見せたくないなって改めて思った