誰も見ないで
第2章 嫉妬
帰り道
隣を歩く正樹は俺に
「はぁ……」
また盛大にため息を吐いた
「正樹、おじいちゃんになっちゃうよ」
「湊斗のせいだよ。そんな子供みたいな悩み抱えてるなんて……」
子供みたい、ってなにそれ酷い
至って真剣なのに
俺は学校からの帰り道、正樹に明日から一緒に帰れないことと最近俺の心を支配してる変な気持ちについて相談していた
紺野君のこと独り占めしたい
なんて正樹にも思ったことないのに、なんでだろうって言っただけなのに
なんでそんなに大きなため息……
それに子供みたい、なんて
俺は小さい時こんな風に思ったことないもん
「正樹は子供の頃こんな気持ちになったことがあるの?」
「俺? あるよ」
「えっ、嘘」
大人び過ぎてるんじゃない
「幼稚園ぐらいの頃かな」
「そんな昔から!?」
俺の驚きに、「同じクラスだったみかちゃんとみほちゃんがねー」と言い出した正樹
みかちゃん
みほちゃん
……やっぱりなんか違くない?
名前も覚えていないような幼稚園の同級生の話をし出す正樹に「もういい」って言って顔を晒した
「ごめんって、湊斗。からかったわけじゃないんだよ」