誰も見ないで
第15章 そんな時期
悩んでいるそこへ、いつも聞く声が話しかけて来た
「湊斗君! 用事終わったの?」
ぼーっとしてたからかちょっとびっくりしてしまって、大きなリアクションをしてしまう
そんな僕をちょっと笑って、湊斗君は
「うん」
と頷いた
僕の隣に座った湊斗君が僕の見てた資料を横から覗いて
「ここ興味あるの?」
と聞いてくる
「あ……うん。家からも通える範囲だし、この学科に興味があって」
「へー」
湊斗君は楽しそうに資料の僕が指差したところの説明を読み始める
「たしかに面白そう」
そして読み終えてそんな感想を漏らした湊斗君
面白そうってことは、湊斗君もこういうことに興味があるのかな?
地方の大学に行くことになっても、一緒だったらどこに行ったっていいのに
もしかしたら湊斗君も同じ大学を選ぶことがあるんじゃないか、なんて期待が心の中に渦巻く
パラパラと資料をめくりながら眺めている湊斗君
その横顔を見ながらまた離れてしまうことの不安に襲われた
すると湊斗君がふと手を止めて
見てるのに気づかれたのかな、と思ったら
「ごめん。お手洗い行ってくるね」
と立ち上がった