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誰も見ないで

第15章 そんな時期


海外に行ってしまうなら
僕のことはどうするんだろう

日本で待ってて?
それとも海外に一緒に行こう?
たまに会いにくるから?


どれにしたって、なんだかしっくり来なくて


最終的には


別れよう


が1番胸の中にすっきりと収まった


「あ、ごめん電話してくるね」


お休みの日に電話に立つ湊斗君

最近ご両親と電話をする機会が増えてきてる


もしかして、海外に行くための準備を進めてるんじゃないの?


悲しみで前が歪む

座った膝の上に置いていた自分の手に何かが落ちて
それが涙だと気がつくと余計に悲しくなった


また僕
ひとりぼっちになるの……


お母さんが死んでしまった時のことを思い出して、息が詰まった


あぁでも、もしかしたら……いや、絶対に
湊斗君は僕といない方が幸せになれるよね

普通に女の人と付き合って、結婚して

それこそこの前の噂じゃないけど、モデルとかやっても

優しいから普通に会社に入ったって、上手くやれる


普通に、って単語がグサグサ刺さって
僕が普通じゃないんだってことを実感させられた


だって僕には、普通は難しいんだもん
湊斗君のこと、好きになっちゃったから

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