誰も見ないで
第16章 全部知りたいのに
桜舞う春を迎えた僕達は3年生でなんと、クラスが離れてしまった
「ぅーーー……………」
「湊斗君の教室、あっち……ーー」
だよ、と指差そうとした手をぱし、と取られて握られた
さっきから何かずっと唸ってると思ったら、教室に行くのが嫌らしい
それは僕だって嫌だけど
敢えて遠回りをして教室に向かったおかげで誰もいない階段
そこで僕の手を握ったまま、湊斗君は床を睨んでいる
「……嫌だなぁ……」
そう呟いてまた唸りだした湊斗君の手を握り返し僕は微笑んだ
「僕だって嫌だけど、3年生だもん。授業少ないし、きっとすぐ会えるよ」
「……うん」
仕方なく納得した風な湊斗君は
それでも
「あと5分」
と僕の手を握ってから、漸く教室へと向かった
校舎の作り上結構離れてしまった自分の教室へ僕も向かう
入り口に貼り出された出席番号順の座席を確認して自分の席に座った
すると
「紺野君」
と僕の肩を叩く人
「! 正樹君!」
「おはよ」
振り返ると、今日は一緒に登校出来なかった湊斗君の幼馴染、正樹君がいた
「おはよう。もしかして……」
「うん。同じクラス。よろしくね」