誰も見ないで
第2章 嫉妬
「……なるほど」
相手のことを独り占めしたいってこの思いは、ヤキモチって言うんだ
それで
そのヤキモチは好きな人にしか持たない感情
ってことは……つまり?
「俺、紺野君のこと好き、なの?」
突然出て来たその答えに正樹は「やっとか」と息を吐く
「でも俺男だし、紺野君も男だよ?」
「そういう発言は今問題になるからやめなさい。普通とか、そんなのはないんだよ。好きになった人が好き、これでいいでしょ」
「そっ……か……」
好きになった人が好き
何でもないように正樹の言った言葉が俺の胸にすっと染み込んで壁を溶かして、紺野君が好きって気持ちを抵抗もなく迎え入れる事が出来た
正樹の言う通りだ
性別なんてそんなに大きな問題じゃない
好きなものは好き
それでいいんだ
「ありがと正樹! 俺明日紺野君に告白してくる!」
そう言うと、唐突な俺の発言に正樹は驚いたような顔をした後
「はーー……」
今日1番で大きなため息をついた
「湊斗くんさぁ」
「なにその呼び方」
「湊斗くんさぁ!」
「……はい……」
2度目に名前を呼ばれる時、正樹にがしっと両肩を掴まれて何故か敬語で返事をする