誰も見ないで
第17章 決断
「……」
黙り込んでしまった俺に、母さんは語調を緩める
『ちゃんと考えなさい。瑞稀君のこともそうだけど、湊斗自身の未来のことも』
俺の未来
考えてみる、と電話を切って
部屋に戻ってから、力が尽きたように横になった
母さんの言葉の一つ一つが鮮明に脳に焼き付いていた
決断しなきゃいけないことはわかってる
もう3年生になるから、残された時間は決して多くない
むしろ少ないぐらいで
色んなこと調べなきゃいけないし
考えなきゃいけない
まだまだ子供だと思っていた自分に、突然自分の未来なんて大きなものの決断を迫られて
俺はただただ困惑した
正解とか不正解とかが全くないから
わからないな
「……どうしよ……」
瑞稀君が今買い物に行ってて良かったと心から思う
俺も一緒に行きたかったけど、母さんからの電話があっていけなかったのは結果的に良かった
「ふー……」
俺は1度深く息を吐いて
1番近くにある情報源のスマートフォンを手に取った
海外の大学に進学するメリットとデメリット
受験する方法
必要なもの
まずそこから、と
検索用の窓に文字を入力し始めた