誰も見ないで
第17章 決断
俺が聞くと、瑞稀君は頷く
「うん。今の成績なら、もしかしたら取れるかもって先生に言われたよ」
「そっか。取れたらいいね」
3年生になり、本格的に始まった受験ムードは時を経るごとに濃くなっている
就職希望がいる俺のクラスでは学校に来ている求人の中から見学に行ったりする人も出てきていて
いよいよ本当に高校生活も最後なんだって思い知らされた
そんな中俺も母さん達や先生と話し合っているけど、俺の決断が遅かったせいでなんだかバタバタしている
本当なら去年のうちに願書とか出しておかなきゃいけなかったんだけど、何にも考えてなかったからなぁ
どうにかならないかって母さん達が掛け合ってくれて、俺は救済措置として出された小論文を書きながら渡航のための準備をしている
月日の流れがこんなに早いって体感したのは初めてかもしれない
どれだけあっても時間が足りないって思うなんて
そんなことを考えていたら、目の前の瑞稀君が
「なんだか、こうして話してる時間はいつもと変わらないのに、過ぎてく時間だけがすごく早く感じる」
と、正に俺が今考えていたことを口にした
「俺も今同じこと考えてた」