
誰も見ないで
第17章 決断
頭の中でどんな風に考えたって、先に言っておけばなんていうのは後の祭りだ
後から聞いた話によると、俺と先生が話し合っているのを誰かに聞かれていたりしたのが結構な噂になっていたらしい
けど
「湊斗君が海外に行くって、本当?」
そう聞いてきた時の瑞稀君の顔は忘れられない
今にも泣きそうなほど瞳が潤んで
ずっと考えてきた事を告白するみたいな必死さを滲ませて
脆くて
捕まえてないと、どこかへ行ってしまうんじゃないかって思った
それでも真っ直ぐに俺を見つめてくれる瑞稀君を離したくない一心で、引き寄せて強く抱き締めたんだ
謝って
謝って
それから俺の気持ちを伝えた
そしたら、待つって選択肢がなかったらしい瑞稀君は俺のことちゃんと待っててくれるって言ってくれて
俺はほっと胸を撫で下ろした
学校から帰ってきて晩御飯を食べている最中、俺は気になっていたことを聞いてみた
「瑞稀君は結局どこを第一志望にしたの?」
選んでいたところは見ていたけど、最終決定は聞いてなかったんだよね
「えぇと……」
瑞稀君の口から出てきた大学名はそこそこ有名なところで、でも
「そこってうちの高校指定校推薦来てた?」
