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誰も見ないで

第18章 最後の


確かにお土産って他人に買って行くものだと思うけど、俺たちには特に買って行く人もいないし


「家に帰ってから2人で食べるもの買おう」


俺がそう言うと、きょとんとしていた瑞稀君が笑いだして


「いいね。そうしよう」


と同意してくれた

よかった、と俺も笑うと瑞稀君が


「あ、でも僕最後はこれがいいな」


思い出したようにマップの1カ所を指差した


「ここって……」
「大観覧車」


この遊園地の名物のひとつである大きな観覧車は、ここに入る前からずっと視界に入っている

1周30分もかかるって聞いたっけ


瑞稀君の希望だし


「いいよ。お土産買ってから行こっか。重ければロッカーに預けていけばいいし」
「うん、ありがとう!」


嬉しそうに笑う瑞稀君


そんなに観覧車好きだったのかな
それか憧れとか?


「で、次はこれかこっちに行きたいんだけど……」


夢中でマップを見る瑞稀君を見ながら俺はどんな理由にしても乗りたかったんなら叶えられて良かった、と思った


「俺、こっちの方が先がいいな」
「じゃあ次はそこにしよう」


行き先も決まって、今度はアトラクションへと入って行く人達を羨ましそうに眺め始めた瑞稀君

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