
誰も見ないで
第18章 最後の
「ところでこのテディベア、『ハートに名前をつけてあげてね』って書いてあるのはなに?」
マップに一緒に載っていたお土産の案内に書いてあったことを指差して瑞稀君に聞くと
「それはね……」
と言いながらぬいぐるみのお腹を漁った
すると、そこにはモコモコした布で見えにくくされたファスナーがあって
瑞稀君がそこを開くと、中には白い綿
そしてさらにその中に小さなハート型の何かが出てきた
「これだよ」
よく見るとケース状になっているそれは、開くと中にプラスチックの薄いハート型の板が入っていて、そこには『Name』と書かれている
「ここに名前を書いたらケースに入れて、また中に戻してあげるんだよ」
「へぇ。すごい凝った仕掛けだね」
名前をつけるってことも、ハートを中に入れて心臓を模していることもなんだか夢があって可愛らしい
よく見せて貰えば、ファスナーは最初は開けやすくなっているけど一度名前をつけて閉めてしまうとファスナーの取っ手が中に入ってしまって、もう開けられないようになっている
「最近のぬいぐるみ事情が進みすぎてて怖い」
「すごいよね」
瑞稀君は一旦ハートをぬいぐるみの中に戻して、また開けられるように少し隙間を残して閉めた
