誰も見ないで
第19章 誰も見ないで
瑞稀君と目が合うと、少しだけ目の周りが赤く染まってるのに気がつく
ちょっと照れてる?
かわいい
「ほら瑞稀、これ好きだろ」
「ありがと大和君」
でも、そんな瑞稀君を眺めていられるのも束の間で
先輩が瑞稀君の取り皿にサラダをドサドサ盛って、瑞稀君は手を離して箸を取ってしまった
俺と手を繋いでたのが利き手とは逆だと言っても、お皿持たないで食べるなんて瑞稀君はしないよね
残念なような、瑞稀君のその礼儀正しいところに安心したような気持ちになって
俺は最後にもう1回だけ、と瑞稀君の太腿をするりと撫でてから手を離した
「今日は2人とも来てくれてありがとうございました」
「あぁ」
「次会う時はもう湊斗の見送りだね」
「うん。ありがと、よろしく」
一瞬寂しそうな目をした正樹が俺の頭をぐしゃぐしゃ、と撫でた
「じゃあ、お邪魔しました」
「じゃあな。瑞稀も」
「さよなら、正樹君大和君」
2人が一緒に家を出て、暫く手を振ってから俺達も家の中に戻った
食器を片付けながら
「楽しかったね」
と瑞稀君に話しかける
「うん、すごく楽しかった」
「俺、あんなに先輩と話したの初めてかも」