誰も見ないで
第19章 誰も見ないで
「どんなに女の子達が思っても、湊斗には全く理解されてないんだよね。高校でもそうだけど、湊斗に告白するような勇気のある子っていなくてさ、湊斗にはモテてるって理解出来ないんだよね」
額に当てられた手でそのまま前髪を搔き上げられる
そして正樹はふ、と緩んだ笑みを見せた
「だから、瑞稀君みたいないい子に告白されてよかったよ。鈍感な湊斗は、ずっと瑞稀君にだけモテてるって思ってたらいいんじゃない?」
「正樹……」
手が離れる間際に軽く頭を撫でられて、なんとなく撫でられたところに手を触れた
すると、膝の上に乗ってた空いてる手に柔らかいものが乗る
それが瑞稀君の手だと気がついて瑞稀君の方を見ると、ニコニコ笑ってて
鈍いとか
わかってないとか
そう言われても
『瑞稀君にだけモテてるって思ってたらいいんじゃない?』
正樹の言う通り
これだけ
瑞稀君が俺のことちゃんと好きでいてくれて
俺も瑞稀君のことが好き
ってだけ
わかってればいい
そんな気がする
2人の前で好きだよ、なんて瑞稀君に言ったらきっと恥ずかしがるだろうから
俺は俺の手に乗っていた瑞稀君の手を握って
伝われ
と願うように思いながら、指を一本一本優しく撫でた