誰も見ないで
第3章 好き
「え、じゃあどこらへんまで読んだの?」
どこらへんだったっけ
「3分の1……ぐらい……?」
半分は読んでないかな
確か
「え、なんだ。じゃあ肝心なところ読んでないのか」
「? 肝心な……?」
えっ
あそこからが本編なの
あそこからそんなに話の展開ある?
海外移住して結婚するとか?
正樹は落胆した様子でがっくり肩を落としている
なんで正樹がそんなに落ち込んで……
「ご、ごめん。帰ったらちゃんと読むから」
考えてみればからかってるにしたって正樹のお金で買って貰った物なんだから、ちゃんと読まないのは失礼だったかも
心配になった俺が慌ててフォローすると、正樹はちょっとだけ真面目な顔になった
「湊斗に今後絶対必要になる知識だから。絶対ちゃんと読んで」
「? う、うん……」
今後絶対に必要な?
なんだそれ
疑問に思ったけど絶対正樹は教えてくれないし
帰って漫画読むしかないのか
「ほら湊斗。早く行くよ」
「あ、うん。待って」
先に歩き出してしまった正樹に追いつくように小走りする
なんか、朝から疲れたし早く紺野君の寝顔見たいな
でも俺昨日のこと思い出しちゃいそうだ