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誰も見ないで

第3章 好き


すると寝起きのぽやっとした顔で


「おはようございます」


と返された


最近、こういう紺野君の顔がちゃんと見える瞬間を楽しみに待ってる感じがする

というか、この角度ならメガネに邪魔されないとかが段々わかってきてるのかな


「? どうかされたんですか?」
「え? 何が?」
「なんだかすごく、嬉しそうな顔をしていたので」


顔に出ちゃってたのか
恥ずかしい


「紺野君のこと考えてたら、つい……」
「!」


正直に白状すると、紺野君がパッと顔を背ける


「何……言って……」


冗談だと思われてる?


「ほんとだよ? 嘘じゃないもん」


俺は嘘つきじゃない、と主張したくてそう付け足す


「じゃあ、僕のどんなことを考えてたんですか?」



それは


「……内緒」
「それはズルいです」
「ズルくない。内緒なの」


「なんですか、その言い分」と紺野君が笑って、俺も会話がおかしいねって笑う


ほんと、かわいい


けど楽しそうな時間はそこまで
廊下の方から誰かの話し声が聞こえてきた


「……じゃあ、席に戻るね」
「……はい……」


紺野君も寂しそうな顔
に見える

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