
誰も見ないで
第3章 好き
汗を体操着の端っこで拭きながら変な声を出した正樹に近づく
横から顔を出してトーナメント表を見ると
「あ」
次の試合、紺野君のところとだ
チラ、と紺野君の方を盗み見ると、次は見学らしい紺野君と一瞬目が合って俺にしかわからないぐらい小さく笑ってくれる
あぁ
かわいい
俺は手をブンブン振り返したい欲求を抑えつつ得点板の近くに向かった
どんな感じになるかな
紺野君との試合
楽しみなような
不安なような
俺間違って紺野君にパスしたりしたら、正樹に後で怒られるんだろうな
そして数分の試合の審判もすぐに終わり、俺たちと紺野君たちとの試合に
紺野君のチームは紺野君以外は運動部で2人はバスケ部の優勝候補のチーム
さっき試合を見てた感じだと紺野君にも気を遣って優しいパスを回してくれてるみたい
仲間はずれにされてなくてよかった反面
ちょっとジェラシー
「原、バスケじゃ負けねーからな」
「バスケ部の君達に本気出されて勝てるなんて思ってないよ」
「前回サッカーの時サッカー部のやつらごぼう抜きしといて何言ってんだよ」
バスケ部の人たちが正樹に話しかけてる
もちろん本気で怒ってるわけじゃないんだろうけど、燃えてるのかな
