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いらっしゃいませ……

第1章 いらっしゃいませ……

もうお釣りなんてどうでも良かった。
こんなわけのわからない、狂った女から早く逃げ出したかった。

僕はゆっくりとレジのカウンターから後ずさりする。

「………おきゃくさま」

びくっ。

「…今から数えますので…よぉぉぉぉく見ててくださいね……」

(だめだ! 逃げられない!!)

僕の体は金縛りでもあったかのように動けなかった。

「……いちまぁぁぁぁい……」

「……にぃまぁぁぁぁい……」

だんだん女の声が不気味に聞こえてきた。
頭の中であることを思い出す。
お皿を数える怪談話……。
あれは、最後どうなるんだったっけ。

「……さんまぁぁぁぁい……」

「……よんまぁぁぁぁい……」

ああ、くそっ…。
コンビニなんて行くんじゃなかった。
さっさと寝れば良かったんだ。

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