ファンタジー短編集
第4章 何より大切なもの
数日後……。
俺は退院した。無理するなという制約付きで。だけどもちろんそんな約束は守れるはずもなく、俺は無理する毎日を続けた。エリーは全力で俺を止めるようになった。だけど俺はそれに従わない。
そんな日々を続けたある日、エリーは家からいなくなっていた。一通の置き手紙を残して。
“突然いなくなってごめんね。シンに私の力の全てをあげる。勝手な判断、申し訳ないなって思っているよ。だけど、これ以上、シンの辛そうな姿を見ているのは耐えられない。これから私は人間界で過ごす。この世界の掟に従って。でも、後悔なんてないよ。一番好きな人に最大のプレゼントをできたのだから。今までありがとう。そして、さよなら”
「ちょ……おま、バカッ」
そう言ったがエリーに届くはずもなく。俺は力があっても、エリーが居ないなら何の意味もない。魔法が使えるよりも、もっと大切なもの。俺はこの二十年の間に気づいてしまったから。いつの間にか走り出していた。
俺は退院した。無理するなという制約付きで。だけどもちろんそんな約束は守れるはずもなく、俺は無理する毎日を続けた。エリーは全力で俺を止めるようになった。だけど俺はそれに従わない。
そんな日々を続けたある日、エリーは家からいなくなっていた。一通の置き手紙を残して。
“突然いなくなってごめんね。シンに私の力の全てをあげる。勝手な判断、申し訳ないなって思っているよ。だけど、これ以上、シンの辛そうな姿を見ているのは耐えられない。これから私は人間界で過ごす。この世界の掟に従って。でも、後悔なんてないよ。一番好きな人に最大のプレゼントをできたのだから。今までありがとう。そして、さよなら”
「ちょ……おま、バカッ」
そう言ったがエリーに届くはずもなく。俺は力があっても、エリーが居ないなら何の意味もない。魔法が使えるよりも、もっと大切なもの。俺はこの二十年の間に気づいてしまったから。いつの間にか走り出していた。