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ファンタジー短編集

第2章 山賊キューピット

「クリスティーネには手を出すな!」

「それはベル次第だ」

 シェリスは楽しそうに笑い続ける。

「くそっ……こんなはずじゃなかった」

 ベルは顔を歪めた。

「ベルっ! あたしを置いて次で降りて」

 タイミング良く電車が止まるがベルが降りることはない。

「降りれるわけあるか! 俺はまだ伝えてないことがあるんだ」

 ベルは声を荒げる。

「あたしだってあるわよ」

「なぁに、グダグダ言ってんのかな?」

「チビ、要求は何だ?」

「土下座しろ。この前のこと謝れ」

「あれは元々、チビが俺をさらったからだろ。あん時の犯人は捕まえたのか?」

 ベルはクリスティーネを気にしつつ、シェリスに問いかける。

「捕まえたさ。ただベルに負けた屈辱だけは頭に残ってな。そしたら、たまたま同じ電車に乗ってるのを発見してな」

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