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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第28章 BLUE BIRD

数日後・・・俺がいたのは

マリアの入院している病院






ドン引き?


まぁ、そうだろうな







チラリ・・・



マリアの病室をそっと覗く







ストーカー?



うっせぇよ





…と、言いたいとこだが

まぁ……そうかもな?








『美味しい・・・』




『沢山食べなさい、まりあ』






そんな話し声の聞こえてくる病室を

少しだけ、覗いて






『て言うか、うさぎリンゴって…(笑)』






『あら…やっぱり、すりおろしてこようか?』







『ち…ちがうよ
お母さん、どんだけ天然なの(笑)

うさぎリンゴとか…
私いくつになったと思ってるのよ?』








『だって、まりあは子どもの時から
それが好きだったから

熱だした時に
食べやすいようにすりおろしたら

「うさぎさんじゃない~!」って
余計泣いて食べなかったんだもの(笑)』





『い・・・いつの話よ、それ…(笑)』






『『ふふふふふふっ・・・』』






楽しそう…なんて言うと
おかしいかもしれないが

微笑ましい母娘の会話が
聞こえてくる




そんな姿を…一目みて



俺は静かに、その場を去る






あれから俺は、毎日こうしていた





マリアの…お父さんの言葉に

わざわざ歯向かう事をして

何を考えてんだ?って話だけどな






久々に…人目をはばかるように
止められない程度に帽子かぶって、隠れて




マリアにも…誰にも気づかれないように




マリアの姿をチラリと見て
その無事だけ確かめる





この日マリアは体調がよさそうだった







熱も下がったようで

お母さんにリンゴ剥いてもらって

美味しそうに食べていた



どことなく…自然に
お母さんに甘えてるマリア


こんなこと、今までなかっただろうからな





ホッとする・・・



俺は勝手に自分の心を落ち着けて
さっさと来た道を引き返す




『ぁ…ごめん、お母さん

悪いんだけど売店で

リップクリーム買ってきてくれないかな?』




『うん…いいわよ、行ってくるね』



『ありがとう…』



お母さんが足早に病室を出る瞬間
俺は慌てて背を向けた










『ゆぅちゃん…?』

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