かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第8章 ゆるされぬ想い・・・
『・・・~~っ』
『それは・・・俺が・・・』
俺は・・・
一瞬、脳裏にうかんだ
妙な感情(コト)を・・・
反射的にゴクリと飲み込んだ・・・。
『・・・デカい声出してごめん』
『私…の方こそ』
『とにかくさ・・・もう少し
冷静に話そうぜ?』
マリアの手を引いて
ソファに戻る。
『一気に…アレコレしようぜって
ことではなくてさ。
落ち着いて、マリアの
望ましい方向を確かめる
何からやるか、とかも
何より・・・まず
ケガ治そうぜ
まずは、そっからだ』
『だけど・・・』
『〃何かあったら〃って…
マリア言ってたけどさ・・・
マリアにもしもの・・・
・・・。
人が死ぬようなことより…
最悪のことなんか
それ以上の〃何か〃なんて
ないんじゃねぇの・・・?
・・・納得のいく
説明には、ならねぇか?』
『ゆぅちゃん・・・』
『休養と作戦会議…♪
雲隠れだけどさ・・・
コソコソすんじゃなくて
あ、ちょっとはするか?
ちゃんと、旦那さんには
連絡して
少しの間、帰らないって
言えばさ…
ムコウも・・・ちったぁ
アタマ冷えるかもしんねぇし?』
『ゆぅちゃん・・・?』
『ん~?…』
『一生かけて・・・恩返しします』
マリアは結局
泣いてしまう。
律儀な・・・ヤツだな。
参ったぜ。
『・・・んなことに
一生かけるんじゃねぇよ・・・(汗)』