かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第11章 そういうの・・・碧いよ
「碧い」・・・か。
碧い : 考えが浅くて、ツメが甘い。
経験不足…半人前
未熟で…不十分
・・・なんて
そんな言葉は…
マリアの言葉は
俺にぴったりみたいだ。
マリアは年上・・・
とは言え、年の差を感じるほど
はなれてもなければ
ありとあらゆる意味で
年上の人って要素がない。
彼女を貶す意味では全くないが
むしろ子どもっぽい
と思うことさえあったり
マリアに〃大人〃を感じたことが
ちっとも…ほとんどなかった。
チビだし・・・幼顔だし
声も高けぇし
ちょいちょい抜けてるし
無防備で危なっかしいし…
オイオイオイ~~~…とか
そんな風に思うこと多くて
俺・・・ちょっと天狗になってたかもな。
マリアより…大人な気でいたっていうかさ。
だけど…現実は違ったんだよな。
マリアの語った〃マリアの現実〃…
彼女の置かれた立場
待ち受ける現実…
マリアは…あらゆる危険から
夫から身を隠しているも同然だ。
もしかしたら明日にでも
夫に見つかるかもしれない
そうなれば
やっと掴んだ自分の城は
泡のように消えてしまうかもしれない
夫に訴えを起こされて
家に連れ戻されるかもしれない
離婚というゴールが来ない限り
マリアに本当の自由はない。
下手な事をすれば
明るみに出れば
相手は何をするかわからない…。
マリアはすでに
そんな現実から…
そんなリスクから
俺を守ろうとしてくれていた。
ハハハ・・・
何が
支える、だ?
隣にいる…だよ
そりゃ
笑っちまうだろうな・・・
マリアの言うとおり
俺は…考えが甘くて碧くさい
浅知恵の・・・碧いガキ
マリアはそれだけの経験をして
現実を見て、知って
ちゃんとそれが見えてる〃大人〃なんだ。
そんなマリアにとって俺は
ケツの青いガキに過ぎないんだろうな。