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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第11章 そういうの・・・碧いよ

これ以上は・・・

マリアを苦しめるだけだ・・・。





『・・・フゥ』


俺は肩の力を抜くように
軽く深呼吸した。



『ごめんなさい・・・』




マリアがうつむいた




『ごめんごめん言うなっての・・・
お前が悪いワケじゃねぇんだから』






『・・・気持ちは、嬉しかった。
本当に…嬉しかったの。

そんな事を
誰かに言ってもらえるなんて

もうないと思ってたから』







『・・・違う意味で
〃カンチガイ女〃だなお前…(笑)』





『ぇ・・・?』




自分の価値を
わかってないってのも
問題だぜな?(笑)…なんてな







『フゥ…さてと・・・じゃ行くぜ?

こっちこそ悪かったな?

~あ、カギちゃんとかけろよ?
お前の城、ボロだからな(笑)♪』






『ん・・・。うん……っ』






うなずくと
マリアが背を向けた。




・・・?





『マリア・・・?』





『ん…っ、なんも…ない……っ

行って?・・・気をつけてね』






マリアの小さな背中が…肩が

少し…また少し

震えている。





『マリア・・・泣くなよ』





泣かせたくて

あんなことを言ったんじゃない…。







『泣いて・・・ないってば…っ』






『マリア・・・悪かったって。

もう気にするなよ・・・。

忘れてくれ?』








『~~~っ・・・っ、…ぅん…っ』








『マリア・・・』






ピクっ・・・






俺が肩にかけた手を

背を向けたままのマリアが
そっと退けた。

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