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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第12章 戻れない道・・・

マリアは結局、旦那のケータイの名義を
自分に移したくて交渉したらしかった。
(何故か断られたらしいが)



旦那に金払ってもらうのが
気分的に嫌だってのと…

もしも
通話履歴とか取り寄せられたら…とか


俺のことはもちろん
職場や居場所を特定される…


色んな〃もしも〃を警戒して…。





それもあったし




マリアにしたら
望ましくない、その相手から
いつ連絡が来るか…

いつ鳴るかわからない
その重苦しいケータイを

すぐにでも突っ返してやりたいと
言ってたそのケータイを
持ち歩くのは、嫌かな…と思って


俺は少し前から考えてたんだ。



『ゆぅちゃん…でも…コレ…』



『〃俺専用〃・・・』



『え・・・』








『ってワケじゃねぇからさ』







『???』




『俺の番号とメアドは
もう、入れといたけど

職場の人とか、みんなにも
あ、ダンナ以外な?(笑)

ケータイ変えたってって言って
それ使えよ』





『で・・・も』







『アプリも入れといたから♪
通話もメールも金かかんねぇから
気にせず使え♪』






『本当?・・・』







『そ♪・・・したら、そっちの…

そのケータイ…それは

〃しょーがねぇから
とりあえず持ってる〃

だけで良くないか?(笑)』






『・・・うん。・・・うんっ』






意味を理解したらしく
マリアは満面の笑顔になった。





『ゆぅちゃん…ありがとう…っ

う・・・うれしい』






『ぷ・・・最初から

素直に受け取れ(笑)』








マリアは嬉しそうにスマホを
握りしめて



でもって



元々持ってた例のスマホは・・・





ホントに

〃しょーがねぇから持っててやる〃




とでも言うように



部屋の・・・隅っこ

隅のすみの…また隅っこに






ホントに放り投げていた(笑)






『ぞんざいに扱い過ぎじゃね?(苦笑)』





「所在がわかれば良い」と言って

マリアがポイしたそれを

俺は拾って
マリアの望む(?)部屋の隅っこで
充電器に差して立てておいた。




手を合わせて・・・





アーメン・・・(笑)


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