かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第14章 薄汚いこと・・・
『えっ?…それホントに
あん時のネコか?!』
マリアが大家を訪ねて撮った
ネコの写真を見せてくれた。
俺がきったねぇ、きったねぇ言ってた(笑)
捨て猫は…
キレイに整えてもらって
首輪もつけて
すっかり普通の可愛いネコに
なっていた。
『可愛いよねっ♪元気にごはんも
沢山食べてて、ほんと良かった』
『ほんとにな♪ちと丸々してきた
みたいだしな?良かったな』
『うんっ』
『マリアはコイツの命の恩人だな(笑)
ほんと…律儀なヤツ』
そういう所
好きだけどさ…。
『なら・・・ゆぅちゃんもじゃない(笑)』
『???』
『ゆぅちゃんも…あの時
そうやって私を・・・
助けてくれたじゃない。
べつに無視したって…いいのにさ。
あれがなきゃ私…下手すると
今生きて居なかったかもしれないよ…フフ』
『バ・・・バーカ』
律儀に…こっぱずかしい事
言わなくて良いんだよ…っ
とか言いつつ
初めて会った日のマリアを思い返した。
ボロボロの痩せ細ったネコと
その時のマリアがかさなった?
ワケじゃねぇけど・・・
助けてやれないなら
手を伸ばすべきじゃない・・・
だけど・・・
手を伸ばさずにいられない
そんなことって
どうしてもあるよな・・・。
マリアは捨て猫と同じかよっ(苦笑)
はは…っ
でもな、違うぜ?
見違えるぜ?
だってな・・・マリアは
最近、なんかな
ますます若返って見えるから?
(笑)
本人に言うとさ
誤解招くっつぅか…
気にするとわりぃから
言わないんだけどよ
若返った・・・って言っても
ハデなカッコしてるとかさ
子どもっぽく見えるとかじゃなくてな
なんか・・・最近なマリア
抱えるモンは多いけどさ
楽しそうだし
ほんと元気にしてるから
本来の自分を
取り戻しつつあんのかな?
なんて思ってる。
だから俺さ
もうマリアに
それこそ
籠に閉じ込められた鳥や…
痩せ細った捨て猫みたいに
怯えたり、悲しそうに泣いたり
してほしくないからさ
今みたいな、マリアで
ずっといて欲しいんだ。