かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第14章 薄汚いこと・・・
『浸けるってこんなんでエエの?』
『ぁ、はい。…漂白剤あると…尚良しかと』
マリアは隣の男の家のドアの前で
説明をした。
『ふぅ~ホンマ助かったわぁ!
マリヤチャンおおきに~
女の子はさすがやなぁ!?』
『いえ、私は何も…。良かったですね
それじゃ…』
『あ!ちょい待って?!』
『???』
『そんなマリヤチャンを見込んでな
コレ…作り方わからん?!』
男が手にしてかざすのは
インスタントの…グラタンの箱。
『???』
『作ろう作ろう思うてんけど
なんやイマイチようわからんくて
~なぁ、男の一人暮らしなんて
けったいなモンやしなぁ?!』
『は…ぁ・・・箱の裏に
作り方書いてあるんじゃ…?』
『それが何を言いよるんかさっぱりなんや!
マリヤチャンお願いっ!
隣同士の〃よしみ〃っちゅ事で!なっ?』
『ぁのぉ…私・・・』
『なん?♪彼氏でも待っとるん?~』
『いえ・・・べつに』
『ほなええやん♪なんもどっかん家に
行くんと違うし?すぐ隣やでぇ♪
手伝うてくれたら、あれや!
お礼にご馳走するわ♪
コレ二人前やしな?!』
『いえ…結構です。すみません…
あまり時間がないので・・・』
『なんや!やっぱ彼氏やな~!?』
『・・・ち、ちがいます』
『ほなちゃっちゃと!やってまお?
オレ腹へっててん♪かなわんわ
ほい、マリヤチャン入ってや~』
『あぁ、ちょっと…!!』
〃なんて・・・強引な人〃
呆れるような巻き込み方に
マリアは背を押されて
隣の部屋に入って行った。
・・・バタン。