テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第25章 二人の部屋・・・

私は・・・きっと


まだまだ世間を…世の中を
敵に回す勇気なんて
なかったのかもしれない



閉じ籠ったような空間で

窓の外を眺めては

自由に羽ばたく鳥たちを

ただただ眺めていた私




いいなぁ・・・羨ましいなぁ


だけど…私には出来ないんだ


私には…得られない幸せなんだ




そう思っては

私は扉を開ける勇気さえ持たなかった



自分には出来ないんだ…

そう焼き付けて

悲しみに悲しみを重ねて

悲観していたの




どうせ・・・そんな人生だから、と




そんな私が…もう一度

自分の人生を生きてみたい

そう思えたのは




目の前に差し出された

このあたたかな手があったから…





今は…今の私は


この手をはなさずにいることが
私の望む大きな幸せであると
確信しているの




自分の殻を破って
建て前も…理屈もなく

今の私は
そう思っている


それが、本当の私の
私の素直な気持ちと答え


だから…もう
こわくはないの



だれに何を言われたって
世界中が私を咎めたって



なにも・・・こわくなんかない








恐いことはたったひとつ


この手をはなしてしまうこと




この手を繋いでいれば

きっと私は

私でいられる




今度こそ

私の人生を…生きていける




この人と・・・一緒に





私は・・・自由に生きたい





この手を握り返して

自分の人生を

ちゃんと生きてみたい




この人と二人

私たちの人生を…生きてみたい






例えそれが・・・罪であっても

ストーリーメニュー

TOPTOPへ