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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第25章 二人の部屋・・・

『ふふふっ…♪』


マリアが俺のスマホの待ち受けを見て
嬉しそうに微笑んだ


そして…



『どこに飛んで行ったのかなぁ?』






スマホを両手で高々と挙げて
青空に重ねるようにかざしている





『この鳥さんたち…二人きりで

ずっと…こうやって

並んで飛んでいけるんだね…』







『・・・』








『なんか・・・いいね』






ちょっとマリアの声が震えた







マリアのそんな姿と・・・その写真に

ホントは俺も

目の奥が少し熱くなってたんだ






『これ…写真にしたい♪』




マリアの一言をきっかけに
俺は日の沈みかかってくる海岸から
マリアをバイクに乗っけて
走り出した




写真屋を探して
スマホをおねだり(笑)してくるマリア



タッチパネルを操作して
スマホを機械に繋いで
ちょこまかと(?)器用に
マリアが操作していた


ボーっと見てた俺をよそに
店の人にオーダーシートを渡して
あっという間に写真ができた…みたいだ


『んふふ♪できちゃった~できちゃった』



満足そうなマリアの手を引いて
またバイクを飛ばし

何もない道を走る




『・・・』


『・・・~』




マリアのやつ…寝てやがる(笑)




背中に感じる重みと
腰にまわされてる少し緩んだ
マリアの両手




『しっかり…つかまってろ、っての』



マリアの手をゆるまないように
腰にまわさせた







〃自由・・・か〃




静かな田舎町の海沿いの道路



バイクの音だけが響く中
あの写真に写った2羽の鳥を思いながら
俺は感じていた




〃自由なんて…得体の知れない

不確かで…答えのないもの〃





だけど…後ろに乗ってるマリアと

風を切って広い道を堂々と

二人で同じ道を…走っている





この日の…その瞬間を


なんだか俺は


めちゃめちゃ・・・〃自由〃だな、俺ら


なんて…感じていたんだ

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