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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

俺は…街灯やライトで
あまり星の見えない都心の夜空を

何の気なしに見上げて
マリアを待っていた




〃ムコウは…星も良く見えたよな

めちゃくちゃ近くにハッキリ見えて

めちゃくちゃキレイでさ…〃





最後まで…その時を惜しむように



いや・・・だって
マリアをちゃんと…せめてホテルに
届けねぇと心配だからだろ



あたりめーじゃねぇか・・・






マリアが実家に連絡がとれれば
安心して…はなれられる




俺は…マリアに
早く戻って欲しいような
戻って欲しくないような

複雑な気持ちで
ただぼんやりと…その帰りを待った












チャリン…チャリーーン・・・





人気のない空間は
よく音も響きわたる…





『?・・・』





小銭が散らばったような…金属音




その辺の音に反応するのと同じに
音のした方向…


マリアの向かっている電話ボックスに
何の気なしに目を向けた







『・・・!?』






薄暗いけど…見える




電話ボックスの鈍い灯りが照らす
中にいるマリアと・・・

ドアの前に立った・・・・・・誰か





・・・・・・誰?







この御時世に?…公衆電話に
人なんか並ぶか?




なんて・・・ボーっと見たのは一瞬






『・・・っ』




俺の体は…瞬間に
何か異様なものを察知して
足が勝手に走り出していた











『おい・・・っ!!?』





遠目に見ていたそれは

電話ボックスにいるマリアと・・・

その出口を塞ぐように立っている

・・・何者か












小銭バラまいたのは・・・おそらく

間違いなく、マリア




俺の目に入ってくるマリアは

狭い電話ボックスの中で

後退りするように…何かに怯えていた








『っ・・・ゆぅちゃん・・・っ!!!』






俺の怒鳴り声に反応して
前を塞ぐ輩が振り向いた瞬間




ドンっ・・・





マリアはドアを勢い良く開けて

そいつを突き飛ばして

電話ボックスから飛び出した

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