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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

『マリア・・・っ!?』





なんだ?!…痴漢か?






血相変えたマリアが
俺に気付いて走ってくる








ガシッ・・・





コケそうに…無我夢中で
飛び込んでくるようなマリアを

暴走を止める…じゃないが
両手でキャッチするかのごとく
抱えるようにして止めた






『マリア?!どうした…!?』


『ゎ・・・わからな…ぃ』




マリアはガタガタと震えて
ひたすらうろたえていた




『マリア?!どうした!!?
なんか、されたのかっ!?』


『っ…ちが…う・・・でも、でも』





『なんだよ…?!』











『・・・私のこと

私の・・・名前・・・知ってた』










え・・・?







『は…?・・・』







そりゃ・・・どういう?








『マリア…それ、なんで・・・』


『わからない…』






『マリア・・・っ』



『わからないよぉ・・・っ!!』







理由なんかわからない

状況もわからない




だけど




なにか・・・ヤバくて

何かがおかしい



それだけは…わかっていた






ただの通りすがりや

その辺の痴漢・・・ではない







奇妙な事に・・・ソイツは





ソイツは・・・どこかに
電話しながら





マリアを


俺の元に駆けてきたマリアを


追ってきたんだ









痴漢やなんかなら

声を上げられたり…ましてや

男の連れの存在なんかわかれば

そそくさと逃げ出しそうなもの・・・








なのに…堂々と

しかも・・・やたらすばしっこく

あっという間に俺らの前に

詰め寄ってくるコイツは・・・?

















「橘 まりあ さん…?」







『・・・?!』

『・・・っ』












「そちらの女性は・・・

橘 まりあ さん…ですよね?」









何事なんだよ?・・・これはよ?

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