マリア
第2章 前奏曲
翔side
そもそも、俺と智は、
初めからそんな関係だったワケじゃない。
俺は、
智の双子の妹・礼音(あやね)と付き合っていた。
付き合っていた、とは言っても、
心臓に持病を持つ礼音は学校には殆ど来ないため、
自宅に訪れては礼音を見舞っていたに過ぎない。
でも、
当然のことだけど、俺とて生身の男。
長く付き合えばどうしてもその先を望んでしまう。
カラダの、関係だとか…。
それまでキスは何度もしていたけど、
キスをしながら、
甘く啼く礼音に堪らなく興奮したこともあった。
だが、所詮はバクダンを抱えた病人。
そう、自身に言い聞かせながら、
プラトニックな恋に酔いしれているふりをし続けた。
礼「やっぱり翔くんて、、勉強ができるだけじゃないんだね?」
側にいる智に同意を求めるように礼音は笑いかけた。
智「翔くん、ゆっくりしていってね?僕、お茶淹れてくるから。」
礼「ありがとう。智。」
智がドアを閉めるのを見計らって、
俺は、待ち構えていたように礼音の側に腰かけ、顔を引き寄せキスをした。