マリア
第2章 前奏曲
礼「しょ…っ」
言葉を発する暇も与えず、
深いキスを与えていく。
礼「ぅん…ふっ…」
唇を離してもまた、違う角度から唇を塞ぐ。
唇が少し離れた瞬間に漏れる吐息や潤んだ目に煽られていって気持ちが段々昂っていって、
堪らず項に顔を埋め、 殆ど陽の光の下にさらされたことのない礼音の、
抜けるように白くてキメ細やかな肌を唇でなぞってゆく。
礼「し…翔くん待って…智が…」
唇を塞ぐ代わりに、耳たぶを甘噛みする。
礼「あ…っ」
すると礼音は固く目を閉じ、体の奥から沸き上がる官能を抑え込もうと薄く小さなピンク色の唇を噛みしめる。
「こっち向いて礼音?」
礼音の顔をこちらに向かせ、礼音の中に沸き起こったものを解放させるために、
その薄い唇を音を立てて吸い上げる。
「翔…くん…」
薄く開きこちらを見る礼音の目。
そこに、評判の美少女の面影はない。
お金をチラつかせれば平気で脚を開く幼娼婦の顔だった。
「礼音…」
顔を近づけていったその時、
ドアを三回、叩く音がして、
笑顔の智が遅くなってごめん、と部屋に戻ってきた。