マリア
第8章 追奏曲
「触んないで!!」
翔「智くんごめん、俺…」
「…聞きたくなかった。」
そんな言葉、君の口から聞くことになるなんて…
「ごめん……君とはもう、会わない。」
翔「智…くん?」
「礼音にも言って聞かせるから…」
翔くんだけは違う、って、
他の人とは違う、って、そう思ってた。
でも、違ってた。
君が特別だったわけじゃない、
特別であるよう振る舞ってただけなんだ。
でも、良かった。
そのことに早く気付けて。
君を縛りつけることにならなくて。
翔くん、今までありがとう。
礼音の…僕たちの側にいてくれて。
もう、僕たちから解放してあげるね?
ひどいこと言ってごめんね?
翔くん…。
翔くん…。
サヨナラ……。
夕暮れの校庭を横切って、校門を目指し歩いてゆく。
遠くから、
どこのクラブなのか知らないけど、威勢のいいかけ声が聞こえてくる。
…翔くん、練習に戻ったのかな?
もしかしたら、追いかけてきてくれてるかも、と、振り返ってはみたけれど、
僕の後ろには誰もいなくて、
翔くんと僕の「お友だちごっこ」は終わったんだ、と、
イヤでも実感することができた。