マリア
第8章 追奏曲
智side
相葉くんと一緒にいた、ってだけなのに、気まずさが漂う。
翔「さっき、俺に話があるとか、って…?」
長い沈黙を破って、翔くんが口を開く。
「僕にムカついてる、って…」
翔「あ……。」
「やっぱり、この間のことまだ…?」
視線を逸らし、翔くんは首からかけていたタオルで汗を拭った。
「あれは…だから、ホントに悪気なんて全然…ただ、礼音と翔くんにうまくいってもらいたくて…」
翔「…長く生きられないかもしれないのに?」
「翔くん!!」
翔「いつまで一緒にいれるか分かんないのに、礼音とうまくいってもらいたい、って?」
「翔くんやめて!!そんな言い方しないで!!」
翔「智くんは礼音が家族だからそんな楽観的な言い方すんのかもしれないけど、俺と礼音がうまくいったところでそこに未来はあんのか、って言ってんだよ!!」
「そんな…」
翔「それに、ずっと礼音のこと好きでいられるかどうかも分かんないんだし…」
「ひどい…」
目の前の翔くんの姿が滲んでいく。
「ひどいよ…翔くん。」
翔「さと…」
僕の肩に触れようとした翔くんの手を払い退けた。