マリア
第8章 追奏曲
抱かれてもいい…。
そのフレーズに、一気に夢から現実へと引き戻される。
和「ねぇ、『翔くん』?」
体の熱が一気に引いてゆく。
目の前の男が『智』じゃなくなってく。
「ふざけんなよ。『翔くん』、じゃねぇ!」
目の前の『智』から体を離して思わず口から毒を吐き出した。
和「んふふっ。さっきまで、でれでれしながら『智、好きだ。』って言ってた人とは別人みたい。」
「るっせぇよ…。」
和「それに勃っちゃてたしねぇ〜♪」
思わずカッとなって、二宮の体をベッドに貼りつける。
和「抱きたいんでしょ?ホントは?」
「…だったら何だよ?」
和「代わり、してあげる、って言ってんじゃん!?」
「お前なんかが代わりになるか!!」
和「さっきはお前でいい、って言ってたくせに…。」
「ああ、言ったよ。」
確かに言ったよ。
でも、性欲の捌け口としての意味だからな?
俺が智をそんな風に扱うワケないだろ?
和「…言っとくけど、ただの捌け口として考えてんならおんなじことだからね?」
「…どういう意味だよ?」
和「だって…さっき、あなたに下心抱いてます、的なこと、告白してたじゃない?」
「言ってねぇだろ!!」
和「フフっ。知らないの?『恋』っていう字の下心、『愛』っていう字の真心、ってね?」