マリア
第8章 追奏曲
『智』の額にかかる髪を掻き上げて、
額に、瞼に、唇を落とす。
すると、少し擽ったそうに瞬きをしては、
『智』は照れたように笑った。
和「ふっ…う…ん」
その、合間に落とす口づけに甘い声で答え、
唇が離れれば、熱っぽく見つめてきた。
「ずっとこうしたかった…」
君の髪に触れ、
君の頬を撫でて、
君の唇にキスをして、
君の体を抱きしめる。
今はただ、それだけで、満ち足りた気持ちになる。
…はずが、俺たちの若い肉体がそれを許してはくれなかった。
和「『翔くん』、『翔くん』の、あたってる…。」
「あ…」
窮屈そうにズボンを押し上げる俺のモノ。
男の智に欲情してしまったことが急に恥ずかしくなって、
体を起こし、離れようとすると、
『智』の指先が俺の上着を掴んだ。
和「いい…よ?」
「えっ…?」
和「『翔くん』なら全然構わないから。」
「でも、俺…初めて…」
和「『僕』も…だよ?」
恥ずかしそうに顔を赤らめ、『智』は顔を逸らした。
和「『翔くん』だったら…『翔くん』だったら『僕』…」
突然、俺の首にしがみついてきた、と思ったら、
『智』が唇にキスしてきてこう言った。
和「…いいよ?抱かれても?」