マリア
第9章 傾想曲
智side
潤「やあ、よく来たね?」
松本先生の家に遊びに行く、という日。
その部屋のドアが開くまで、ガチガチに緊張していた僕だったけど、
ドアから覗く松本先生の笑顔に釣られて、思わず僕も笑顔になってしまう。
和「お邪魔しま〜す!!あっ!?いい匂いがすると思ったら…」
潤「こーら、行儀が悪いだろ?」
松本先生はスニーカーを脱ぎ散らかしてパタパタと中へ駆け込んでゆく二宮くんを笑顔で諌めた。
潤「ったく…子供だな?」
微笑ましい二人の姿に頬が緩んでしまう。
潤「さ、君も入って?」
「失礼します。」
深々と頭を下げ、用意されたフカフカのスリッパに履き替える。
「あの…先生、甘いもの、って食べますか?」
潤「食べるよ?」
「これ、僕のお母さ…母の手作りなんですけど、良かったら食べてください。」
大きな紙袋から甘い香りが漂う大きな箱を取り出す。
潤「へぇ…パイか。スゴいね?でも、こんなに気を使わなくても良かったのに?」
和「えっ!?何々?何もらったの?わっ!!すっげ!!これ、大野さんのお母さんが作ったの?」
「うん。」
潤「じゃ、それはデザートで頂くことにして、お昼にしようか?大野くん、和也く…和也、座って?」