マリア
第9章 傾想曲
あれ?…さっきの……?
何だったんだろう?
二人の間に漂うこの違和感。
和「…さん、ね、大野さんてば?」
「え?あ、何?」
和「何飲むか、聞いてんだけど?」
「あ…え、と…何があるんですか?」
潤「取りあえず、お酒以外だったら何でも出せるよ?」
和「じゃ、俺、お酒飲もっかなあ…」
一瞬、二宮くんと松本先生の視線がかち合ったけど、
どちらからともなく、然り気無く逸らされる。
和「なーんて、ウッソー。」
やっぱり…
気のせいなんかじゃない。
この二人、何だか変…。
違和感を拭えないまま、ランチに舌鼓を打つ。
和「うんま!」
潤「うん。おいしいよ。」
「よかった…」
さっきの違和感が嘘のような時間の後のティータイム。
潤「和也。ほら、ここ!!」
和「んあ?」
潤「ついてるから。」
笑いながら唇の端っこを指差す松本先生。
潤「そんなにがっつかなくてもまだたくさんあるから。」
和「だって、あんまりうまかったから、つい…」
先生は、僕が持ってきたパイをさらに切り分けて、二宮くんの皿にのせた。
和「やった♪ありがと。」
満面の笑みを浮かべると、二宮くんはそれさえもあっというまに平らげてしまった。