マリア
第9章 傾想曲
翔side
二宮に面白いことを教えてやるから今すぐマンションの前まで来い、と言われ、
今、その真ん前にいた。
適当な理由で断ってやろうか、と思ったけど、
和『櫻井さんにも大いに関係あることだから。』
そう言われると何だかスルー出来なくて、
結局、来てしまった。
しっかし、いつ見てもでけえな…。
その大きさにため息をつきながら腕時計を見た。
すぐ、来い、って言っといてどれだけ待たすんだよ!?
もう、三十分以上たってるじゃないか!?
イライラしながらふと前を見ると、エントランスの自動扉が開いて、二宮が小走りで近づいてきた。
「すぐ来い、って言っといておっせぇよ!?あっ!!おい!!」
二宮は、
何も言わずに俺の腕を掴むと、
無言で自動扉をくぐった。
「おい、何だよ?何黙ってんだよ?」
そのままエレベーターに乗り込み、無言でボタンを押し、
エレベーターが上昇し始めたところで背を向けたまま口を開いた。
和「俺、急にアンタとセックスがしたくなったんだよね?」
と、振り向き、二宮は笑った。