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マリア

第13章 夢想曲



生「俺から渡辺先生に連絡しておくから今日のところは早く帰って休め。な?」


潤「…まーた、奢らされるなあ。」


生「体調管理が出来ていない自分を恨め。」


潤「…そうだな?」



顔を見合せ笑い合う二人。



生田先生の肩に担がれ歩き出す松本先生。



「あっ…あのっ!?」


生「ん?何?」



振り返った生田先生に釣られて、松本先生も生気のない顔で振り返る。



「あのっ…僕、送っていきます。」


生田「えっ?」


潤「………。」


「松本先生が風邪を引いたのは、元はと言えば、僕のせいだし…」


生田「そう…なのか?」


瞬間、松本先生は目を見開いたが、



すぐに逸らして目を細め声も立てずに笑った。



潤「気持ちだけ、受け取っとくよ。」



再び歩き出す二人のあとを走って追いかけた。



「じゃあ、せめて…お手伝いさせてください。」



生田先生の反対側に回り込み、松本先生の肩を担いだ。



潤「じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな?」


松本先生の手が生田先生の肩から離れ、



先生の体重が一気に僕の肩にのし掛かる。



生「じゃ、俺、車回してくるから送っていくよ?」


潤「いや…」



ふとした瞬間に見上げた僕の視線と松本先生の視線が意味深に絡み合った。










潤「タクシーで帰ることにするよ。」


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