マリア
第13章 夢想曲
先生の体に覆い被さるようにしながら、夢中で先生の舌を追いかけた。
先生の顔が苦痛に歪む。
でも、先生の美しさは変わらなかった。
むしろ、こちらの方がいつにもまして綺麗だった。
潤「もしかして、蝶は僕の方かな?」
真上から見る先生は睫毛が長くて、さらにはその影が先生の顔の陰影を引き立てていた。
「そう…思いますか?」
潤「僕にとっては君の方が蝶だ、と思ってた。」
「どんな?」
潤「白くて小さな…」
「紋白蝶…とか?」
潤「う…ん。」
「可愛いイメージだ…」
今度は、先生が体の大きさに任せて体を反転させ僕を組み敷いた。
潤「だから、蜘蛛に大人しく食べられるものだ、と思ってた。」
僕の前髪を弄ぶように掻き上げながら笑う。
「でも…美味しくないかも?」
潤「それに、毒を持ってるかもしれない。」
「あっ……」
顎を伝って首筋に落ちてゆく唇が擽ったい。
潤「口にした途端、命を落とすかも…」
「あ……や…しゃべらないで…くださ…い。」
初めて僕の肌に触れる唇に過剰に反応してしまう。
潤「思った通り、君は可愛いね?」
「可愛くなんか……あっ!」
先生は僕の項に歯を立てた。