マリア
第14章 虚飾曲
俺は必死だった。
二宮とのことがバレないように取り繕うことに。
「ところで、お前、雅紀に連絡してんのかよ?」
和「欲しいゲームソフトが出たら、ね?」
と、俺とヤったあと、ベッドで真っ裸のままゲームを始める二宮。
和「ふふっ。何、ビビってんの?」
「ビビってねぇ、って…」
二宮は、ベッドから抜け出して、既に帰り支度を始めていた俺の背中に纏わりついてきた。
和「ね…いいこと教えてあげよっか?」
「何だよ…」
和「あの二人、とうとうデキちゃったみたいよ?」
「あの二人?」
和「大野さんとウチのお兄さん。」
「まさか…そんなはず…」
和「…あるの。俺、見ちゃったんだよね?妙な時間に兄貴の部屋から出てくる大野さんを。」
「なんだよ?それだけじゃデキてる、って言えないだろ?」
二宮は、俺のうなじ辺りに顔を押し付け、込み上げる笑いを押し潰した。
和「…わかります、って?」
俺の正面に回り込んだ二宮の口角が不気味に上がる。
和「あの二人の空気感でね?」
俺の顔を力づくで引き寄せると、
二宮は噛みつくように、俺の唇に吸い付いた。